自分たちでワークシートを埋めることで、組織としての体力や成熟度を高めていける
最初に、簡単に事業の紹介と、業務内容のご説明をお願いできますでしょうか。
私の担当業務は自社のソリューション・サービスの企画販売で、2年前にローンチしたAIを活用したサービスを扱っています。こちらがプロダクトアウトな製品であることもあり、売り方に苦労している状況だったため、今回は売り方やマーケティングも含めた営業活動のやり方についてご相談させていただきました。
ご相談いただいた経緯までお話いただいてありがとうございます。それでは、導入の決め手はどこだったでしょうか?
当初プログラムを紹介いただいた際には、我々の製品に合うのか疑問に思っていましたが、主に2つの要因が決め手になりました。
1つは、水嶋さん自身が豊富なインサイドセールスの経験をお持ちで、その時の知見を基によりインサイドセールスを上手く進めるエッセンスを教えてもらえるのではないかと期待したことです。
2つめについて、初めのうちは営業を変革するといっても完成形が分かりにくいと感じていたのですが、3つの営業モデルについてのワークシートを拝見して、どのように営業を変革していくメソドロジーなのかが理解でき、自分たちにとって適切なモデルをアセスメントしてもらえるのではないかと考えたことです。
今回、得られたインサイトなどはありましたか?
自分たちの悩み事への直接的な解答を得た、というよりは、対話を通じて自身の考え方を整理する機会を得られたと思います。そういった会話ができる人材が社内にはあまりいないため、自分の仮説の正しさを確かめたり、自身の感覚がずれていないと確認したりするのに役立ったと思います。
Boot Campはどのような企業や組織にとって役立ちそうでしょうか?
最もこのフレームワークがはまるのは、製品の販売を開始する前ではないかと思います。一旦販売し始めてしまうと売ることに忙しくなり、動きながらこういった活動を行うのは難しいと思うので、販売前の段階でBoot Campを活用して営業戦略の全体像を描いておいて、それをベースに動き始めたあとは、教科書として参照しながらピボットしていくというかたちがよいのではないでしょうか。
商品開発と比較したとき、営業戦略や販売戦略は曖昧だったり、やってみなければ分からない、とあまり事前に決めずに始めてしまったりするので、あらかじめ全体像を頭に入れて進められれば、営業マネジメントの点でもメリットがあると思います。
Boot Campは変革プログラムとして捉えることもできますが、事業立ち上げの教科書としてインプットしておいて、実際にビジネスが進んでいる最中に変革に取り組む際には、一時的に外部のリソースを頼るのもよいのではと感じました。事業の早い段階でフレームワークの全部を知識として知っておくことは有用だと思います。
たしかに、もともとBoot Campは新規事業立ち上げや、体制変革することは決まっていて、内容を検討する場面で活用していただくことを想定していました。
もう1つ、立ち上げ期にこのプログラムを活用すべきなのは、規模の大きい組織なのではないかと感じました。少人数の場合、ここまで精緻に考える必要はないと考える人もいるかもしれません。
最後に、Boot Campとコンサルとの違いや使い分けについて、お考えをお聞かせいただけますでしょうか。
まず、コンサルのほうが中に深く入って稼働してくれるため、リソースや知見がない時には痒い所に手が届く部分はありますが、かなり費用が掛かるのは事実であり、先の見通しが立っているか、すでに利益が上がっている領域でなければ踏み込みにくいです。予算の都合でコンサルに部分的に入ってもらった場合、改善も部分的になってしまうのは良し悪しだと思います。
一方で、Boot Campはコンサルよりも費用が掛からないため利用しやすいのと、ワークシートがあるおかげで網羅性が担保されているのが利点です。3か月という期間で消化し切れるかはさておき、自分たちでワークシートを埋めていくことで、組織としての体力や成熟度を高めていけると感じました。
突貫工事で穴を塞ぎながらでも急いでビジネスを立ち上げなければならない、という場合には集中的にコンサルを使い、市場が立ち上がるまで時間が掛かるような場合はBoot Campでメンバーの基礎体力を付けていくというやり方も有効だと思います。時間とお金のトレードオフをどのように考えるかが重要ではないでしょうか。